(2021年7月1日発行)

7月になりました。2021年も折り返し地点ですね。ワクチン接種が進む一方で、新型コロナ変異株の感染が拡大しています。油断は禁物です。どうぞお気をつけください。

◆「就業不能」となった時の公的保障

近年「就業不能保険」のラインナップが増え、コマーシャルで見かけることも多くなったように感じます。今夏も複数の保険会社が新たに就業不能保険をリリースしました。

ところで、この「就業不能」に対する備えについてどう考えたらよいのでしょうか。保障を考える際にベースとしたいのが公的保障です。今日は就業不能に対する公的保障について確認していきます。

◆傷病手当金

業務外の病気やケガで働けなくなり、4日以上仕事ができず給与の支払いもなかった場合には、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。金額は支給開始前12カ月間の標準報酬日額の3分の2で、期間は休業4日目から最長1年6ヵ月(※1)です。

令和元年度は、全国で約202万件、3,900億円余りの傷病手当金が支払われました。傷病別内訳は、精神および行動障害31%、新生物(がん)19%、循環器系疾患10%、筋骨格系および結合組織疾患11%、となっており、精神疾患等で休業した方への支給が圧倒的に多くなっています。傷病手当金は、被用者保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済等)の被保険者に対して支払われるものです。国民健康保険の加入者には原則支払われないことに注意が必要です。

(※1)2022年1月1日から「通算1年6ヵ月分」に改正

◆障害年金

病気やケガにより日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、程度に応じて受け取ることができるのが障害年金です。支給要件を満たした上に、一定の障害状態と認定された場合に支給されます。支給が決定されるのは初診から1年6ヵ月超経ってからになります。障害等級1級または2級に認定されると、国民年金加入者は障害基礎年金1級/2級が支給されます。厚生年金加入者は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金(1級/2級)が支給されます。また障害の状態が軽い場合には、3級障害厚生年金や障害手当金(一時金)が受け取れる場合があります。

◆公的保障の充実度により私的保障の必要性は変わってくる

これまで見てきた通り、サラリーマンの場合は、就業不能の状況になっても傷病手当金等が支給されるため一定の収入が確保できることがわかりました。他方公的保障が手薄な自営業者やフリーランスの場合は、就業不能の状況になると一気に収入が途絶える恐れがあります。

自営業者やフリーランスの方は、貯蓄や保険等の私的保障で備えることも検討してみてください。(青山)