(2021年8月15日発行)

各地で大雨に伴う水害が多数発生しています。災害に遭われた皆さまに心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い天候の回復と、生活の復旧を願うばかりです。

◆相続した「いらない土地」を手放して国に返すことができる?!~相続土地国庫帰属法 

前回は、「所有者不明土地」問題にスポットを当て、所有者不明土地を今後発生させないために法改正が行われ、相続登記の義務化等が決まったことをお伝えしました。

実は、所有者不明土地の発生予防対策として、国は同時に「(一定の要件を満たせば)相続等で取得した土地を手放すことができる制度」を新たに創りました。今日はこの「相続土地国庫帰属制度」についてお伝えします。

◆制度の概要

「相続土地国庫帰属制度」は、「相続や遺贈により土地を取得した者が、一定要件を満たして法務大臣の承認を受ければ、また必要な費用を負担すれば、土地の所有権を国庫に帰属させることができる」という制度です。

不便な場所にある山林や原野等の不動産は、相続後に手放したくとも買い手がつかず、「いっそ所有権を手放したい」と思っても、土地の所有権を放棄すること自体が民法の規定にないためそれも叶わず、やむを得ず保有し続けているという方も 少なくありません。今回の新制度創設により、このような相続によりいらない土地を所有・管理している方にも、土地を手放して負担を軽くする道が開けることになりました。

◆手続きの流れの概要

この制度の手続きは次のように進む予定です。

1.相続または遺贈により土地を取得した者(共有地の場合は共有者全員)が申請

2.法務大臣(法務局)が審査、(適合すれば)承認

3.申請者が負担金を納付

4.国庫に帰属

なお、現時点では審査手数料や負担金の詳細については決まっていません。参考として、現状の国有地の標準的な管理費用(10年分):粗放的な管理で足りる原野約20万円、市街地の宅地(200㎡)約80万円…が例示されています(R3.6 法務省民事局資料)。

◆ハードルは高い⁈~満たすべき要件

この制度を利用するための「土地の要件」がかなり細かく規定されています。具体的には、「建物がある土地」「担保権等が設定されている土地」「土壌汚染や埋設物がある土地」「崖がある土地」「権利関係に争いのある土地」「通路など他人によって使用される土地」…に該当しない土地、とされています。つまり、通常の管理・処分をするのに過分な費用や労力の必要のない、「土地の上には何もなく、トラブル等も無い、崖のない更地」である必要があります。

この法律は今年4月28日の公布から2年以内、つまり2023年4月28日までに施行される予定です。承認要件や負担金についての詳細については、これから詰めていくことになります。

相続はどなたもいずれは経験することです。この制度を活用したいと思う日が来る可能性はどなたにもあります。我が家のFPとして、是非新しい情報をフォローして頂きたいと思います。(青山)