(2025年1月22日発行)
寒さも和らぎ、日差しにあたたかさを感じる一日となりました。一方で、ここ数日目をこすることが増えています。花粉の季節が始まっています。
前回は、2025年4月に施行される育児に関する法改正についてご紹介しました。今日は、新たに雇用保険制度に創設される「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」について確認します。
◆新たな給付金創設の目的は
現在国は、夫婦がともに仕事と育児を行う「共働き、共育て」を推進しようとしています。2022年に産後パパ育休がスタートし、育休を取得する男性が少しずつ増えています。また短時間勤務で子育てしている人も少なくありません。今回、「出生後休業支援給付」は育休取得による収入減を補てんするため、「育児時短就業給付」は時短勤務による収入減少を補うために創設されました。
◆育児休業給付金と出生時育児休業給付金
現行の雇用保険制度で、育児に伴う給付はタイトルの2つの給付金です。
「育児休業給付金」は、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得する際に支給されます。支給額は、休業開始から通算180日までが賃金の67%、180日経過後は賃金の50%です。
「出生時育児休業給付金」は、いわゆる「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得した雇用保険の被保険者を対象とする給付金です。産後パパ育休は、子どもの出生後8週間以内に合計4週間分(28日)を限度として取得できます。この産後パパ育休を取得して一定の要件を満たすと、賃金の67%に当たる金額を出生時育児休業給付金として受給することができます。
◆2025年4月に新たにできる「出生後休業支援給付金」
子どもの出生後の一定期間内(男性は出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、夫婦がともに14日以上の育児休業(または出生時育児休業)を取得した場合、最大28日間、賃金の13%に当たる「出生後休業支援給付金」を給付します。これにより、既存の育児休業給付金、出生時育児休業給付金と合わせた給付率は賃金の80%に引き上げられ、手取ベースで10割相当が受給できる計算となります(育児休業中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されなければ雇用保険料の負担はありません。育児休業給付も非課税のため、賃金の80%の給付率は実質的に手取り10割相当になります)。
短期間ながら、育児休業を取得しても収入が減らない状況になるのはありがたいことですね。
◆育児時短就業給付金
育児をしながら短時間勤務をする労働者に対しては、現状何も経済的支援制度がありません。今回の雇用保険改正により、2歳未満の子どもを養育するために時短勤務をしている被保険者に対し、時短勤務中の賃金の10%を「育児時短就業給付」として給付されることになりました。
時短勤務中は、家計がかなりタイトになるご家庭も少なくありません。少しでも収入が増える措置が取られることを歓迎したいと思います。
さて、来月からは弊会のメンバーが順番に執筆を担当します。今後も生活に役立つ情報をお伝えして参りますので引き続きよろしくお願いいたします。(青山)