◆2025年度年金制度改正について◆

令和7年6月13日に「令和7年年金改正法」が成立しました。

このたびの改正は、働き方や男女の差などに中立的で、ライフスタイルや家族構成の多様化に対応した年金制度を構築するとともに、高齢期の生活の安定を図ることを目指すものです。

今回では、なかでも大きな制度変更となる遺族年金の改正についてご紹介します。

◆遺族年金の改正

遺族年金の改正は、遺族厚生年金の男女差が解消され、遺族基礎年金においては子どもが遺族年金を受け取りやすい制度に変更されます。

◆遺族厚生年金の改正のポイント

これまで遺族厚生年金には、受給条件に男女差がありました。今回の改正により、「子どものいない60歳未満の方が死別した場合」の遺族厚生年金のルールが大きく変わります。ポイントは次の通りです。

・原則5年間の有期給付※となる

・これまで受給対象外だった55歳未満の男性も対象となる

・受給年金額が増額される。

5年間の有期給付期間中:亡くなった配偶者の老齢厚生年金相当額の一部が「有期給付加算」として上        乗せされる(現行の約1.3倍に増額見込み)。

遺族が自分自身の老齢厚生年金を受給する際:亡くなった配偶者の厚生年金記録が死亡分割された分が上乗せされる

※5年間の有期給付は、低所得などで配慮が必要な場合、5年目以降も継続給付が可能(最長65歳まで)。

なお、次の方は今回の改正による変更はありません。

<制度改正による変更のない人>

・60歳以上で死別した人

・子ども(上記※)を養育中の人

・改正前からすでに遺族厚生年金を受け取っている人

・2028年度に40歳以上になる女性

◆遺族基礎年金の改正

現行の遺族基礎年金の制度では、子どもが父母と同居している場合、父母が(再婚などの理由で)遺族基礎年金の受給要件から外れると、子どもも遺族基礎年金は受給できませんでした。しかし今回の改正により、父母が受給停止となった場合、子どもに対する遺族基礎年金が支給停止されない(子どもが受給できる可能性がある)ようになります。

◆施行は少し先

遺族厚生年金の改正は、男性は2028年4月から、女性は2028年4月から20年かけて段階的に行われます。遺族基礎年金の改正は、2028年4月から一律施行です。

年金制度は、社会の安定を守るために急激な変更を避け、段階的に進められます。 今後も制度の動向に注目していきましょう。

(磯貝仁美)