◆転職時代の私的年金
転職される方も多い時代になりました。転職や退職時はいろいろな手続きに追われますが、私的年金の手続きも忘れずに行いましょう。ここでの私的年金とは、生命保険会社で契約する個人年金保険ではなく、年金制度のひとつである企業型確定拠出年金(以下企業型DC)などのことです。
◆私的年金は公的年金の上乗せ制度
まずは年金制度の振り返りをしておきましょう。20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人は国民年金に加入します。そして、会社員や公務員は、厚生年金に加入することで国民年金にも加入していることになるので、公的年金が2階建てになっています。
この公的年金に上乗せとして企業型DCなどが用意されている会社もあります。この上乗せが私的年金です。企業型DCの他にも確定給付型年金(DB)などがあります。また、自分で自分の年金を作っていく個人型確定拠出年金(iDeCo)も私的年金のひとつです。
◆私的年金も持ち運ぶ時代に
企業型DCは、持ち運ぶことができるという特長があります。企業型DCがある会社を退職する際、転職先の会社にも企業型DCがあれば年金資産を移すことができます。もし転職先に企業型DCがなかったり、会社員ではない働き方に変わる、あるいはしばらく働かないという方は、年金資産をiDeCoに移すことができます。また、DB(規約による)や通算企業年金に移すという選択肢もあります。
この私的年金として積み立てた年金資産を他の年金制度へ移管できることを「ポータビリティ」と言います。つまり、私的年金は持ち運びができるのです。
◆移換の手続きをお忘れなく
私的年金は公的年金の上乗せとして老後資金を作っていく制度ですから、途切れることなく積み立てを続けていくことが大切です。
ところが、退職した際、手続きをせずそのまま放置になっている方が意外と多いのです。手続き期間が6か月以内と短いこともあるかも知れませんが、そのままにしていると現金化され、国民年金基金連合会に自動的に移管されます。自動移管されると、運用ができないので資産は増えていきません。それどころか手数料は引かれていくのです。また加入年数へのカウントもされません。この自動移管になっている方が約138万人もいるのが現状です(令和7年3月31日現在「令和6年度国民年金基金連合会業務報告書」)。
大切な老後資金として、引き続き積み立てや運用ができるよう手続きはお忘れなく。
なお、2018年5月1日以降は、新たに別の確定拠出年金制度(企業型DCまたはiDeCo)に加入していることが判明した場合は、そちらへ移管されることがあります。
(佐藤容子)
