(2025年5月2日発行)

風薫る5月になりました。今日は八十八夜、立夏ももうすぐ。今のうちに、爽やかな気候を満喫したいですね。さて、今号の執筆は、東京のメンバーの寺田滋子が担当します。

◆制度改正で使い勝手がよくなった!?相続時精算課税制度について

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。

◆相続時精算課税制度とは?

原則として特定贈与者(60歳以上の父母または祖父母など)から、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。生前贈与する時は2500万円(特別控除)まで非課税となりますが、贈与した人が亡くなった時に、その贈与した財産を相続財産に足し戻して相続税を計算し、まとめて相続税として納める制度でした。この制度は、贈与者ごとに選択できますが、1度選択すると、暦年課税制度に戻ることはできません。毎年110万円の非課税枠がないので、選択後に贈与した財産は少額でもすべて申告しなくてはなりませんでした。こうした理由で利用者が少なかったのですが、2024年に大きな制度改正がありました。

◆改正後の相続税精算課税制度

2024年1月1日以降、この制度を選択した場合でも、毎年110万円までの贈与は非課税となり、申告義務がなくなりました。非課税枠内で贈与した分は相続財産に加算せずに済むようになったので、毎年110万円までを非課税にすることができるのです。例え亡くなる直前でも、年間110万円までは無税で贈与できますし、相続財産にも加算されなくなり、使い勝手が良くなったと感じる向きもあるようです。

◆暦年課税の場合は?

相続財産への加算が相続発生前7年以内になりました。推定相続人への贈与は年数を経ないと効果がない為、生前贈与の選択肢にも変化がみられます。贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から暦年課税に係る非課税額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。つまり、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(申告は不要)。

暦年課税の受贈者(贈与を受け取る人)は推定相続人に限らず、110万円以下は届け出の必要もありません。但し、2023年1月1日以後の暦年課税に係る贈与で取得した財産は、相続発生時に被相続人(亡くなった人)の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を3年から7年間遡って加算します。(一定の措置として総額100万円まで控除可能)なお、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得している人は対象になりません。

(詳しくは:国税庁 タックスアンサーNo.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」→https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm)

高齢化社会が進展するなか、今後も相続税の課税対象となる方の増加が見込まれ、この相続時精算課税制度を利用するケースが増える可能性があります。なお、同一年中に、2人以上の特定贈与者から贈与を受けた場合、それぞれの特定贈与者の相続時精算課税に係る非課税額は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円となります。なお、特別控除額については、贈与を受けた人ごとではなく、贈与をした人ごとに累積で2,500万円まで控除することができます。(詳しくは:国税庁タックスアンサーNo. 4410「複数の人から贈与を受けた時」→https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4410.htm)

(寺田滋子)