(2020年3月12日発行)

新型コロナウイルスがパンデミック状態である、とWHOが宣言しました。日に日に感染者の数が増え、株価も下げ止まる気配はありません。当面はあらゆる場面で忍耐が必要なようです。

◆私立高校授業料実質無料化

さて、4月から私立高校授業料が実質無償化されます。ニュースをご存知の方が多いと思いますが、今回はこの制度について確認しておきましょう。

◆現行の授業料支援制度

現行制度では、保護者等の年収が約910万円未満の世帯に対し、「高等学校等就学支援金」11万8,800円/年が支給されています。この額は公立学校の授業料と同額なので、公立学校に通う生徒の場合は「授業料の実質無償化」が実現していました。一方私立学校に通う生徒の場合は、保護者等の年収目安590万円、350万円、270万円を境目に、段階的に支援額が増やされ、最高で29万7,000円が支援される仕組みとなっています。

◆制度改正により私立学校の授業料支援額が増える

今回の改正により、年収が約590万円未満の世帯の私立学校生徒への支援額の上限が39万6,000円まで引き上げられます。全日制私立高校の年間平均授業料は約40万円なので、該当所得世帯の場合は「私立高校の授業料実質無償化」が実現するのです。(年収目安590万円以上910万円未満の場合は現状と同じく11万8,800円が支援されます)

◆7月から所得の判定基準が変わるので要注意

支援の対象となる世帯については、これまで「年収」の目安でご説明してきましたが、厳密にいうと、判定基準は年収ではなく「住民税の所得割額」です(6月分まで)。「住民税の所得割額(都道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合計)」は、令和元年度の住民税決定通知書や課税証明書で確認できます。この基準は、7月以降変更となることが決まっています。7月以後は次の計算式:「市町村民税の課税標準額×6%−市町村民税の調整控除の額」が判定基準となります。

住民税の所得割額は、「調整控除前所得割額―税額控除」で計算されていました。つまり、ふるさと納税や寄附を行うことで「税額控除」を計上し、所得割額を引き下げることが可能でした。7月以降の基準変更後はその手は使えなくなりますが、「所得控除」を活用して住民税の課税標準額を引き下げる方法はあります。節税に活用できる所得控除には、社会保険料控除(国民年金基金)、小規模企業共済等掛金控除(小規模企業共済、iDeCoや企業型確定拠出年金のマッチング拠出)などがあります。老後の資産形成と節税を考えながら、制度も上手に利用できるよう、我が家のFPとして、税金の知識も身につけてくださいね。 (青山)