(2023年4月2日発行)
新年度が始まりました。満開の桜のもと、笑顔で歩く新入社員、新入生の皆さんを見かけると、いつも「がんばれ!」とひそかに声をかけたくなります。
◆マンションにお住いの方、要チェック!大規模修繕工事を行うと固定資産税が減額される特例制度が4月1日から始まりました◆
さて、ここ数日「令和5年4月1日から変わること、変わったこと」について、ニュース等で盛んに取り上げられていますね。でも実は、ニュースに取り上げられることが全てではありません。例えば先月可決された令和5年度の税制改正では、新NISAの創設や相続税制の改正が注目されていますが、(対象者が限定されることもあり)固定資産税の税制改正についてはあまり注目されていません。
今回は、マンション住まいの方には関係があるかもしれない「マンションの大規模修繕に関する減税措置」についてご紹介します。
◆「マンション長寿命化促進税制」とは?創設の背景は?◆
築後年数の経過したマンションの多くで、大規模修繕工事のための積立金が不足する問題が起きています。住民の高齢化や工事費の高騰が主な原因ですが、適切に工事が行われないと、外壁の剥落やマンションの廃墟化等を招きかねません。
そこで、マンションを長寿命化するための大規模修繕工事(屋根の防水工事、床防水工事、外壁塗装等の工事)の実施について、管理組合が合意形成しやすくするために創設されたのが「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置(マンション長寿命化促進税制)」です。
令和4年4月に「改正マンション管理適正化法」が施行されました。住民の高齢化などでマンションが管理不全になるのを防ぐため、地方公共団体がマンションの管理計画を認定する管理計画認定制度や、取組が不十分な管理組合へ助言・指導・勧告する制度が創設されました。この、マンション管理を適切に行う施策を推進するために、税制面でも優遇する措置が取られることとなりました。
この措置により、「一定の要件を満たしたマンションで長寿命化のための大規模修繕工事が行われた場合に、マンションの各区分所有者は、工事翌年度の固定資産税額(建物部分:100㎡分まで)が原則1/3減額される(※減額は1/6~1/2の範囲内で、市町村条例で定める)」ことになりました。
◆対象となるマンションと措置期間は?◆
特例措置の対象となるのは、次の要件を満たすマンションです。
1.築後20年以上が経過している10戸以上のマンション
2.長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施したことがある
3.長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保している(積立金不足の場合でも積立金を一定以上に引き上げ、管理計画について地方公共団体の認定を受けている等の条件を満たす)
この特例措置は、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事が対象となります。時限税制ですのでご注意ください。(青山)