(2023年7月3日発行)

熊本県をはじめ九州地方などでは大雨に見舞われ、その他の地域では梅雨の晴れ間により真夏の暑さとなっているところが多いようです。大雨の地域の皆様、災害の危険が迫っているかもしれません。どうぞお気をつけください。また暑い地域の皆様、どうぞ熱中症対策をお忘れなく。

◆ どう考える?夫婦共働きの住宅ローン◆

今日、国土交通省が2023年の路線価を発表しました。標準宅地は2年連続の上昇だそうです。またマンションの価格高騰のニュースもよく耳にします。このような不動産事情も背景にあるのでしょうか、共働き世帯の住宅資金に関する個人相談では、「ペアローン」や「収入合算」についてのお問い合わせが増えています。

今日は、共働き世帯の住宅ローンの借り方のうち、「ペアローン」と「収入合算」の方法について、ポイントと違いを確認していきましょう。

◆共働き世帯が検討できる「ペアローン」「収入合算」とは?◆

共働き世帯の場合、一般的に広く行われている「単独契約」(夫婦のうちどちらか一人がローンを契約する)以外に、夫婦の収入を合算して借り入れを行う方法があります。これらの方法は、夫婦の収入を合算することで世帯収入を増やせるため、借入金額を増やせるメリットがあります。

1.ペアローン

ペアローンは、夫婦それぞれで住宅ローンを1つずつ契約する形をとります。夫婦それぞれが契約者(債務者)となり、お互いの住宅ローンの連帯保証人になります。団体信用生命保険(以下団信)には、それぞれが契約する住宅ローンで加入します。もしどちらかが亡くなった場合は、亡くなった債務者の住宅ローンは団信により完済され、もう1人の住宅ローンはそのまま継続されます。住宅ローン控除もそれぞれの住宅ローン残高に応じて適用されます。色々とメリットのあるペアローンですが、ローン契約が2つですので手数料等は2倍かかることに注意が必要です。

2.収入合算

収入合算してローンを組む方法は2つあります。住宅ローンの契約が1つであることは共通ですが、収入合算者が連帯保証人になる場合(連帯保証型)と、収入合算者が連帯債務者になる場合(連帯債務型)があります。

多くの民間の住宅ローンで扱っているのは収入合算(連帯保証型)です。収入合算者は「連帯保証人」になります。連帯保証人は、債務者が返済できなくなった時に返済義務を負いますが、ローンの契約者・債務者ではありません。あくまで債務者は1人です。収入合算者は債務者ではないので、団信に入ることができません。従って、連帯保証人が亡くなっても住宅ローンが団信で完済されることはなく、主たる債務者のローン返済はそのまま続くことになります(主たる債務者が亡くなった場合は、残債は団信により完済されます)。住宅ローン控除も債務者に適用されるため、控除を受けられるのは契約者1人だけです。

フラット35と一部の金融機関で扱っているのが、収入合算(連帯債務型)です。収入合算者は連帯債務者となり、2人とも同等の立場の債務者として住宅ローンの返済義務を負います。団信は、被保険者が夫婦となる「連生団信」を選択すれば、2人とも団信に加入することが可能です。団信保険料は高くなりますが、どちらか一方が亡くなった時に、ローン残債が全額弁済されるのは魅力的です。フラット35には「連生団信『デュエット』」が付保できます。   

今日は夫婦共働きの場合の住宅ローンの選択肢についてご紹介しましたが、将来やむを得ず夫婦共働きが続けられないこともあり得ます。住宅ローンを検討する際は、様々な事態を想定して、無理のない計画を立てて頂きたいと思います。   (青山)