(2020年1月16日発行)

先日「白内障手術が保険会社の『先進医療特約』対象外に」というニュースが出ていました。先進医療特約の支払件数が一番多いのは、実は白内障の手術だということを皆さんはご存知でしょうか?今日はこの気になるニュースについてお伝えします。

◆今まで「先進医療」とされてきた白内障手術が先進医療から外されることが決定

先月13日の「中央社会保険医療協議会」※で、これまで先進医療の対象だった白内障手術の1技術が先進医療から外されることが決まりました。その代わりに「選定療養」とし、差額ベッドや歯科治療の金合金等と同様、保険でカバーされない(患者が全額負担する)治療とする方針のようです。※中央社会保険医療協議会厚生労働相の諮問機関で、医療保険制度や診療報酬改定等を審議する。中医協と呼ばれる)

◆そもそも先進医療とは?

日々進化する医療技術ですが、新しく生みだされた先進的な医療技術は、ある程度実績を積まないと保険診療の対象にすべきかどうか判断することはできません。「先進医療」は、一定の安全性や有効性は確認されているものの、まだ保険診療として認められていない(移行するかどうかを評価するために臨床試験を積み重ねている段階の)医療を言います。

◆先進医療は時とともに変化する

「先進医療」は、評価の結果保険診療の対象になることもあれば、評価の対象から外れる場合もあります。定期的に見直され、その内容は変化しています。2019年6月末現在、先進医療の数は88種類。2018年7月1日~2019年6月末日までの実施医療機関は1,184施設、患者数は39,177人、先進医療費総額は298億円でした。そのうち白内障手術を受けた患者数は33,868人、先進医療費は約230億円と、白内障手術が先進医療の大部分を占めています。

◆先進医療の白内障手術ってどんなもの?

これだけの実績がある白内障手術は、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」といいます。白内障は、加齢などにより水晶体が白濁して視力が落ちる病気です。手術では、濁ってしまった水晶体を取り除いて眼内レンズを埋め込みます。眼内レンズには種類が色々あります。単焦点レンズは保険診療の対象ですが、近くか遠くのどちらかにピントを合わせるため眼鏡が必要となります。一方多焦点レンズは遠近両方にピントを合わせることが出来るため、眼鏡なしで見える場合が多くなります(個人差あり)。

◆先進医療から外れると医療費はどうなる?

この多焦点レンズを使用する先進医療の技術料(60~70万円程度)は全額自己負担です。しかし医療保険の「先進医療特約」を契約している場合は、この技術料の負担分が保障されます。実際、先進医療特約の支払実績が断トツで多いのもこの技術料に対してでした。4月以降この技術が先進医療から外れると、基本的な白内障手術(水晶体再建術)は保険診療、「多焦点眼内レンズ」の使用は選定療養として自己負担となる見込みです。自己負担金額の詳細等はこれから議論されます。「先進医療特約」の対象ではなくなりますので手術をお考えの方はご注意ください。 (青山)