(2019年11月22日発行)

在職老齢年金制度の改正についての議論が活発に行われています。

◆在職老齢年金とは?◆

在職老齢年金制度は働いて一定以上の給与を受け取り、厚生年金も合わせてもらっている人を対象とした制度です。賃金(ボーナスを含む)と年金の合計額が一定金額を上回ると年金支給が停止されます(実質減額)。この制度は60歳代前半と後半で仕組みが異なります。・60代前半(60歳~64歳) 賃金と年金の合計額が28万円を超えると28万円を超えた金額の2分の1の年金額の支給が停止されます。賃金が47万円を超えると超過分と同額の年金が停止されます。・60代後半(65歳~)賃金と年金の合計額が47万円を超えると超過分の2分の1の年金額の支給が停止されます。なおこの「28万円」は夫婦二人の標準的な年金に相当する金額、「47万円」は現役男子サラリーマンの平均月収(ボーナスを含む)を基準として設定しています。

◆在職老齢年金制度が出来た事情◆

そもそも厚生老齢年金は、支給開始の要件に「年齢要件」と「退職要件」がありました。在職中は年金を受け取れない、というのが原則だったのです。しかし高齢で働く人は低賃金であることが多く、生活が困難だったことから、低賃金者を対象に働いていても支給される特別な年金として在職老齢年金制度が創設された経緯があります。

◆見直しの議論◆

「年金額を減らさないよう収入を抑えた働き方をしよう」と考える人が一定数いると見られる中、就労意欲をそがない制度作りを求める声があがっていて、基準額を引き上げる案が出ています。基準額を引き上げれば働き方を調整する人が減り、厚生年金保険料を拠出する年金を支える側に回ることが期待されているのです。一方で働きながら年金を受給すると高所得になるため、現役世代とどのようにバランスを取っていくのか問う声も少なくありません。財源の問題もあり、とても難しい問題ですが、今後も議論の行方を注視していきたいですね。

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