(2019年6月20日発行)

この度の地震で被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

◆「老後2000万円」~注目の報告書

「老後資金2000万円」のニュースが先週から大きな注目を集めています。今回私もこの報告書「高齢社会における資産形成・管理」(金融審議会市場ワーキング・グループ著)を読んでみました。50ページちょっとの報告書ですが、様々な角度から高齢社会について検証・考察し、これからの個人の資産形成や金融サービスの在り方等を提言しています。個人的にはとても興味深く、認識を深められる内容と感じました。

◆老後資金の計算は…

せっかくなので、「老後資金2000万円」の計算を確認してみました。根拠となる「高齢無職世帯の1か月あたりの収入/支出」の金額は総務省の「家計調査」を参考にしています。この平均収入約21万円弱に対し、平均の支出が約26万円余り。月間収支は約5万円のマイナスです(実際には5.4万円)。これを年間にひき直し、さらにこの生活が30年(95歳まで)続くと考えて、▲5万円/月×12カ月×30年=▲1,800万円。「老後30年間で2000万円近くのお金が必要」との説明は、まあその通りと言えます。

◆大切なのは一人ひとりが「自分のライフプラン」について考えること

2000万円という数字が注目されていますが、忘れないでほしいのは、この金額はあくまで平均値から算出した参考値ということです。年金額や退職金の金額は人により様々です。生活費も家庭事情が大きく影響するため、平均は平均に過ぎません。大切なのは、「我が家に必要な老後資金」の金額を知ることです。勤務先の年金制度や年収の多寡によっても、老後の収支は全く変わってきます。将来見込める年金等の収入はいくらか。年金生活に入ってからの生活費はどのくらいか。収支見込を具体的に見積もって初めて、「我が家に必要な老後資金」が見えてきます。人に聞いて答えを得られるものではなく、自分自身で数字を積み上げ、割り出していく必要があります。
件の報告書には「今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、『自分ごと』として捉え、考えられるかが重要であり、これは早ければ早いほど望ましい」と記されています。今回のニュースにより、これまで老後資金に関心のなかった人たちが自分の老後やライフプランを考え始めることを期待します。
FPの会では、講座や個人相談を通して、皆さん一人ひとりがライフプランについて考えるお手伝いを致します。これを機に家計と向き合い、自分の老後資金やライフプランについて考えてみませんか。(青山)