(2020年6月1日発行)

6月になりました。経済活動もようやく本格的に始動しましたが、一方で賃金動向等家計に直結する気がかりなニュースも目につきます。日本経済新聞社がまとめた調査によると、中間集計の現時点で今夏のボーナスは前年比マイナスの企業が増加し、減少幅も広がっているようです。また賃上げ率も低下しており、「賃金改定の先行きは不透明」と回答した企業も増えています。

◆コロナ禍を乗り切る家計術~ボーナス編

このように環境が大きく変わるタイミングこそ、家計を見直したいもの。先日筆者は深田晶恵氏による「ボーナスカットに備える家計防衛術」というオンラインセミナーを受講しました。「ボーナスカットに備える」というテーマでしたが、毎月の収入ダウンや非常時の家計の見直しにも応用できますので、ご紹介します。

◆家計のダメージを最小限に抑えるコツ

まず、家計防衛の対策は次の手順で行います。1「通常時」の収支を確認→2ボーナス支出を洗い出す→3支出を仕分けて「コロナ版」を予測→4足りない分の対策をする。

1.通常時の収支(実績)を確認

ひと月の収支がどうなっているか、実績の数字を基に確認します。赤字の場合は、毎月いくら赤字なのか、金額も把握します。

2.ボーナス支出を確認

ボーナスを見込んで計画している今夏の支出予定を洗い出します。毎月の赤字の補てん、住宅ローンやクレジットカードのボーナス返済、固定資産税、子どもの合宿費や夏期講習、家具や大型家電の購入、帰省費用等です。それらを合計するといくらか?まずは予算を単純合計してみます。

3.ボーナス支出のコロナ版を予測する

2の支出の中には、コロナ禍の影響で今夏は発生しないものや、カット可能なものがあります。そこで、2を○:コロナ禍に関係なく必ず出ていく支出(税金、車検、毎月の赤字補てん等)、△:コロナ禍の収束時期により発生しないかもしれない支出(子どもの合宿費、帰省費用等)、×:あきらめるべき支出(大きな買い物、旅行等)の3種類に仕分けます。そのうえで、コロナ版のパターンA(○の合計…コロナの収束が長引く場合)と、パターンB(○と△の合計…コロナが夏休みまでに収束する場合)を出します。現時点ではどちらのパターンになるかは不明なので、パターンBまで手当することを考えます。

4.足りない分の対策

支出計画を「コロナ版」に縮小しても足りない分は、貯蓄の取り崩しで賄うことになります。ポイントは「貯蓄の取り崩しは足りない分だけ」にすることです。30万円足りない場合は、30万円分を取り崩します。「念のため」と多めに取り崩してしまうと、後で「何となくお金が減ってしまった」事態になりかねません。

以上、家計防衛の緊急対策についてご紹介しましたが、固定費を見直す等、中長期的な家計の見直しもあわせて進めたいところです。これについては次回お伝えします。(青山)