(2020年10月15日発行)
◆今年からの変更あり!年末調整
早いもので10月も半ばとなりました。そろそろ年末調整手続きの時期がやってきます。今年は、税制改正に伴い年末調整でも変更点があります。今日は年末調整に関する所得税の改正点と、手続き(書類)の変更点について確認しましょう。
◆税制で昨年から変更になった点
1.「給与所得控除」の引き下げ
サラリーマンの必要経費である「給与所得控除」が一律10万円の引き下げとなりました。また給与所得控除の上限額も引き下げられ、最大の所得控除額が220万円(年収1000万円超対象)から195万円(年収850万円超対象)となりました。
2.「基礎控除」の引上げ
「基礎控除」の金額が一律10万円引き上げられ、38万円から48万円になりました。同時に所得制限が設けられ、合計所得金額2500万円超の高額所得者は基礎控除が廃止されました。
3.「所得金額調整控除」の創設
今回の給与所得控除の上限額の引下げは、実質的に高所得者層への増税となります。しかし、高所得者層のうち、子育て世帯や介護世帯に配慮するため「所得金額調整控除」が創設されました。
給与収入が850万円超であっても、
・所得者本人が特別障害者である
・同一生計配偶者または扶養親族に特別障害者がいる
・年齢が23歳未満(平成10年1月2日以後生まれ)の扶養親族がいる
~のいずれかに当てはまる場合は、一定金額が控除されることになりました。
4.ひとり親控除の創設
これまで控除を受けられなかった未婚のひとり親に対して「ひとり親控除」が創設されました。ひとり親控除ができたことで、寡婦(夫)の要件が見直されました。
◆年末調整書類が変わる
上記のような税制改正を受けて、3種類ある年末調整書類のうち、1種類の名称と中身が変わります。
昨年までは、
・「扶養控除等(異動)申告書」
・「保険料控除申告書」
・「配偶者控除等申告書」
…の3種類を提出していました。
今年から変わるのは3つ目で、
「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という新書式を提出することになります。
名前からも分かるように、この新しい書類は、基礎控除・配偶者控除・所得金額調整控除の3項目の申告が1枚でできるようになっています。
年末調整書類は字が小さく名前も難解で、「説明書をもらってもよく分からない」と思われる方も少なくないでしょう。でも細かく見ていくと、複雑な税制改正に対応して必要な情報がしっかり伝わるようにまとまっていることが分かります。
国税庁では「年末調整がよくわかるページ」も開設しています。興味のある方は、是非のぞいてみてください。(青山)