(2021年5月15日発行)

九州北部、四国、中国地方で梅雨入りが発表されました。例年より約3週間程度早い梅雨入りだそうです。関東地方も曇りや雨の日が増えていますが、草木、特に紫陽花にとっては心地よい天気かもしれませんね。

年金や医療保険等、社会保険の制度改正は税制改正とともに私たちの生活に大きな影響を及ぼします。昨年成立した「年金制度改正法」(2020年5月29日成立、同6月6日公布)は、パートタイム等で働く方には是非注目して頂きたい改正です。施行は来年(2022年)ですが、少なくとも「何が変わるのか」「自分に関係するのか」を早めに確認しておきたいところです。

◆年金・医療保険の適用拡大

一定の収入や労働時間を超えるパートタイムやアルバイトの方は、社会保険(健康保険や厚生年金)に加入する必要があります。2016年10月以降、この適用対象となる方の範囲が拡大しています。

◆現行のルール

従業員数が500人超の企業に勤める方で、次の4つの要件に当てはまる方が現在の対象者です。

(1)1週間の所定労働時間(あらかじめ働くことが決まっている労働時間。残業は含まない)が20時間以上

(2)月額賃金(あらかじめ決まっている賃金。賞与、残業代、通勤手当は含まない)が88,000円以上

(3)1年以上継続雇用される見込みがある

(4)学生でない(休学中や夜間、通信制の学生は加入対象)

2017年4月からは、従業員数500人以下の企業等でも社会保険に加入することが労使合意されている場合は対象となっています。

◆2022年からどうなる?

今回の改正により、企業規模(従業員数)の要件が段階的に引き下げられます。

2022年10月からは従業員数100人超の企業、2024年10月からは従業員数50人超の企業が対象となります。また、さきに挙げた4つの要件のうち(3)の「1年以上継続雇用される見込み」が「雇用期間が2か月を超える」になります。今回の適用拡大により、新たに65万人の方が加入対象となると推計されています。

◆メリットとデメリット

社会保険に加入すると、保険料を負担しなければなりません。配偶者の扶養の範囲で働いている、あるいは既に60歳を過ぎていて国民年金に加入していない(年金保険料を納めていない)方にとっては、まさにこれがデメリットになると言えます。

しかし、メリットが少なくありません。自分で健康保険に加入することで、病気や出産で仕事を休んでも給与の3分の2相当が支給されます(傷病手当金、出産手当金)。また年金は、厚生年金を基礎年金に上乗せして受け取ることができます。年金は基本的に一生涯受け取るものです。月あたりの上乗せ額は小さくても、何十年に亘り受け取ることを考えれば小さくないと言えるでしょう。障害年金は、障害状態により基礎年金が受給できない場合でも障害厚生年金や障害手当金(一時金)が受け取れる場合がある等、社会保険に加入することで保障の範囲が広がります。

社会保険への加入は、目先の収入だけでなく、いざという時の保障や年金など、ライフプランにも関わってきます。自分にとって、我が家にとってどうするのがよいか、じっくり考えて頂きたいと思います。

FPの会では、「主婦が働く時の社会保険と税金」講座が人気です。税金についても必要な知識が得られますので、興味のある方は是非受講してみてください。(青山)