(2021年6月15日発行)

関東甲信越地方は例年より遅い梅雨入りとなりました。恵みの雨も過ぎたるは…です。雨による災害には気を付けたいですね。

◆健康保険法等の改正法案のポイント◆

6月11日に健康保険法等の改正法案が公布されました。「後期高齢者の医療費自己負担割合の2割への引き上げ」については皆さんもよくご存じだと思いますが、実は他にも重要な改正が含まれています。今日はこの改正のポイントについて押さえましょう。

◆改正ポイントは4つ◆

今回の改正の目玉は4つです。

1.後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し

現役並み所得者でない後期高齢者のうち、「課税所得が28万円以上かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は年収合計が320万円以上)」の方の窓口負担割合が2割に引き上げられます。施行は2022年10月1日から2023年3月1日までの間の政令で定める日です(現時点では未定)。施行後3年間は、外来受診の1ヶ月の負担増を最大でも3,000円とする措置を政令で規定するとしています。

2.傷病手当金の支給期間の通算化

健康保険の傷病手当金の支給期間は「支給開始日から最長1年6ヵ月」です。これは1年6ヵ月分が支給されるという意味ではありません。1年6ヵ月の間に仕事復帰して出勤した期間があればその復帰した期間も1年6ヵ月の中にカウントされるため、実際に受給できる日数は不支給の日数分少なくなります。今回の改正により2022年1月1日以降は、受給期間中に出勤して傷病手当金が支給されなかった期間を1年6ヵ月から延長し、通算1年6ヵ月分を受給できるようになります。

3.任意継続被保険者制度の見直し

健康保険の被保険者は、退職後も希望すればその健康保険への加入を継続することができます。これが任意継続被保険者制度です。任意継続できる期間は2年間ですが、資格喪失事由(任意継続して2年経過した、保険料を期日までに納めなかった、他の保険制度の被保険者となった、後期高齢者になった、等)に当てはまらなければ、任意で脱退することはできませんでした。しかし、2022年1月以降は「市町村の国民健康保険に加入する」「健康保険の被扶養者になる」等の理由であっても申し出れば任意にやめることが可能となります。また、任意継続の保険料の算定基礎(標準報酬月額)も見直されます。

4.育児休業中の保険料免除要件の見直し

短期の育児休業を取得する場合に対応するため、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合にはその月の保険料を免除するように改正されました。一方賞与に係る保険料については、1ヵ月を超える育児休業を取得している場合に限り免除の対象とすることになりました(月末の1日だけ育児休業を取得して保険料を免除するという裏技的な制度の利用を防止するもの)。2022年10月1日施行となります。

今回の改正は、働けなくなった時の保障やセカンドライフ世代の社会保険等、ファイナンシャル・プランニングにも深く関わるものです。我が家のFPとして、正しい知識を得て、どう備えるか是非考えてみてください。(青山)