(2021年7月15日発行)

沖縄に少し遅れて、九州、中国、北陸地方までが梅雨明けとなりました。関東地方では天候が不安定な毎日が続いていますが、晴れ間の日差しはかなり強くなっています。梅雨明けも近いですね。

◆2021年度税制改正における住宅ローン控除の変更点について

2021年度の税制改正は、新型コロナウイルス感染症の渦中ということもあり、コロナ禍の家計支援や経営支援等が改正の中心でした。今日は、制度改正された中から生活者にとってなじみ深い住宅ローン控除の変更点等について確認しましょう。

◆住宅ローン控除とは

住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。これは住宅ローンの年末借入金残高の1%を10年間にわたり所得税額から控除する制度です。2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたのに伴い、特例措置で控除期間が10年から13年に延長されました(2020年12月末までの間に住宅を取得し、居住開始した場合)。控除金額は

・1年目~10年目まで:年末借入金残高(4000万円を限度※1)×1%、

・11年目~13年目:(イ)(ロ)いずれか少ない金額、とされています。

(イ)住宅借入金などの年末残高(4,000万円を限度※1)×1%

(ロ)消費税抜きの住宅の対価(4,000万円を限度)×2%÷3

この入居期限は2020年度の新型コロナ特例により1年延長されています(2021年12月31日入居まで)。

※1 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅の上限は上限5,000万円

◆2021年度の変更点は2つ

1.特例措置の「入居期限」の延長

今回の税制改正では、この特例の入居期限がさらに2022年12月31日までに延長されました。入居期限は延長されましたが、契約期限に注意が必要です。注文住宅の場合は2021年9月30日、分譲住宅・中古住宅・増改築等の場合は2021年11月30日までに契約することが条件になっています。

2.対象となる家屋の床面積要件の緩和

対象となる床面積は、「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されました。ただし、所得制限があります。40㎡以上50㎡未満の家屋について控除できるのは、合計所得金額が1,000万円以下の年に限られます※2

※2 床面積50㎡以上の住宅で控除できるのは、合計所得金額が3,000万円以下の場合。

◆住宅ローン控除は今後の動向に注意

低金利の現在、住宅ローン控除の控除率1%を下回る借入金利で住宅ローンを借りているケースが多くなっています(会計検査院の検査によると78%)。このようなケースでは住宅ローン控除額が毎年の支払利息の金額を上回ることになり、「借り得」の状況になってしまっています。会計検査院は住宅ローン控除について「国民の納得できる必要最小限のものとなっているかなどの検証を行うことが望まれる」と指摘しており、2022年度の税制改正で見直しが行われる可能性は高いと思います。

住宅購入をお考えの方は、このような事情も考慮の上、ご検討ください。(青山)