(2021年8月1日発行)

東京オリンピックが始まり、毎日テレビの前でに熱く選手を応援している方も多いのではないでしょうか。一方で新型コロナ感染症の拡大は危機的状況となり、特に東京の感染者数は指数関数的に増えています。不安は増大するばかりですが、マスク着用、手洗い・うがい、消毒と、できることを地道にするしかありませんね。皆さまどうぞお気を付けください。

◆押さえておこう!「所有者不明土地」問題と関連法の改正

所有者の分からない土地(所有者不明土地)が全国的に増加しています。現在国土の約20%あまりが所有者不明の状態になっていると見られ、高齢化の進展・死亡者数増加により益々問題が深刻化する恐れがあります。この問題を解決するため、民事基本法制が見直され、民法等の一部を改正する法律がさる4月21日に成立、4月28日に公布されました。今日はこの「所有者不明土地」をめぐる問題と、その解決に向けた取り組みの中から不動産登記法の改正について見ていきます。

◆所有者不明土地とは?増加の背景は?

「所有者不明土地」とは、不動産登記簿の情報が古く現在の所有者が分からなくなっている土地や、所有者がわかっても引越し等をしたため連絡がつかない状況になっている土地を言います。

相続登記(相続を原因とする所有権移転の登記)はそもそも義務とされていないこともあり、登記されていない土地はかなりあります。法務省が行った「不動産登記簿における相続登記未了土地調査」(平成29年)によると、登記から50年以上が経過している土地の割合は大都市で約6.6%、大都市以外で約26.6%に上ります。そのため不動産登記簿のみでは所有者の所在が確認できない土地の割合が約20%に上る状況になってしまっています(国土交通省「平成 28 年度地籍調査における土地所有等に関する調査」。)

◆所有者不明土地の問題点

所有者不明土地は、所有者の探索に多大な時間と費用がかかります。また管理されず放置されることも多く、近隣住民が困るケースが少なくありません。さらに共有者が多数の場合や所在の分からない共有者がいる場合には、土地の管理や利用のために必要な合意形成を行うことも難しく、公共事業や復旧・復興事業、民間取引が進められないなど様々な問題が生じています。

◆不動産登記法の改正

今回、所有者不明土地の発生を予防するために次の通り不動産登記法が改正され、2つの登記申請が義務化されました。

1.相続登記の申請義務化

不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が義務付けられました。正当な理由なく申請しなかった者には10万円以下の過料が科されます。施行は公布後3年以内の政令で定める日(現時点では未定)です。

2.住所等の変更登記の申請義務化

所有権の登記名義人は、住所などの変更日から2年以内にその変更登記の申請を行うことが義務化されました。正当な理由なく申請しなかった場合は5万円以下の過料が科されます。施行は公布後5年以内の政令で定める日です。

登記の義務化と同時に、登記の事務手続きや費用負担の軽減も図る予定です。相続登記の申請義務化に合わせて「相続人申告登記」が創設されます。これは、相続人が不動産の所在する法務局に自分が「不動産の相続人」であることを申し出て、登記官がその者の氏名や住所などを職権で登記することで登記義務を履行したことになります。相続登記が期限内に間に合わない場合等、この制度を利用して相続登記の申請義務を果たすことができますが、不動産の所有権は相続人に移転していません。遺産分割により不動産を取得した者は、遺産分割から3年以内に登記する必要があることに注意してください。

相続登記のための登録免許税の負担軽減については、令和4年度の税制改正で要望が出される予定です。今後の動向にも注目してくださいね。(青山)