(2022年5月16日発行)

走り梅雨に誘われたのか、早くも我が家の紫陽花が咲き始めました。本格的な梅雨の季節が近づいています。

◆「もしバナゲーム」を体験しました◆

もしも今「あと半年の命」と宣告されたら、皆さんは残りの日々をどう過ごしたいですか?とても大切なことなのに、普段はなかなか考えないテーマです。「縁起でもない」と、考えたり話したりすること自体避けている方も少なくないかもしれません。

こんな重いテーマを気軽に明るく話し合うことのできるツールが「もしバナゲーム」です。アメリカで生まれた「Go Wish Game」を元に、在宅医療や緩和ケアに携わる医師によって日本人向けに開発されました。

ゲームでは「もしも余命6カ月だったら…」という設定のもと、35枚のカードの中から「痛みがない」「ユーモアを持ち続ける」「家族と一緒に過ごす」など、人生の最期に自分が大切にしたいことを選んでいきます。必要に応じてカードを交換しながら、「自分が大切だと思うこと」に向き合い、最終的に1人3枚のカードを残します(※今回のゲームの場合)。参加者の中には2回目、3回目の方もいらっしゃいましたが、毎回選ぶカードが変わるそうです。ゲームでは、参加者に自分の考えを発信することで、これまで知らなかった自身の価値観に気付かされ、参加者の皆さんの多様な考えを聴くことで、新たな視点や気づきを得ることができました。他の人の価値観に触れることで、自分の考えも揺らぎ、変わって行くようです。和気あいあいと進んだゲームでしたが、とても密度の濃い貴重な時間を過ごすことができました。

◆終末期の医療・ケアについて考える ~アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

今回の「もしバナゲーム」は、この3月まで日本赤十字医療センターで救命救急の最前線で活躍し、現在訪問診療・在宅医療に従事する医師の諸岡真道先生が主宰されました。これまで多くの方の「お看取り」をされてきた先生から伺う終末期医療のリアルなお話はとても興味深かったです。またゲーム終了後にはACP(アドバンス・ケア・プランニング)についてご紹介頂きました。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、終末期の医療やケア方針について、本人が家族や医療関係者・ケア者チームと繰り返し話し合い、「どうしたいか」を共有していく取り組みのことです。日頃から、医療関係者・ケア者とも考え方・価値観を共有していくことはとても大切だと思いますし、そうできれば理想的ですね。これから取り組みが広がることを期待します。

◆エンディングノートを書いてみよう

このACPを進めるにあたり、エンディングノートは価値観共有の強力な助けになります。エンディングノートには終末期の医療やケアについて必ず記入欄があり、まず「今の私がどう考えているのか?何を大切にしたいか」を考えるきっかけとなります。エンディングノートに書き留めたその考えは、月日が経てば変わるかもしれません。医療やケアに対する希望も、より具体的になることでしょう。そうしたら、その新しい考えを書き加え、残せばいいのです。

これを繰り返し、内容を更新していけば、これまでの価値観の変遷と直近の思いがノートに詰まっていることになります。ノートは、ACPで是非とも共有したい貴方の想いの結晶です。

「エンディングノートを書くことは自分の生き方を考えること」と言われることがあります。今、元気なうちに自分のエンディングについて考え、エンディングノートを書いてみませんか?「元気な時に考えておきたいエンディング」講座は、オリジナルのエンディングノート付きで、毎年開催件数の多い人気講座です。ぜひ受講してみてください。(青山)