(2022年11月2日発行)

早くも11月になりました。先日の韓国のハロウィーンイベントでは大変痛ましく、悲しい事故が起こりました。お亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、これから行われる各種イベントが、穏やかで楽しいうちに終了することを心から願います。

◆「改正所有者不明土地法」が施行されました

昨日(11月1日)、所有者不明土地対策を推進するための「改正所有者不明土地法」が施行されました。地域の所有者不明土地(空き家)に対して行政がどのようなアクションを起こせるようになったのか、内容のポイントをお伝えします。

◆そもそも「所有者不明土地問題」とは?

「所有者不明土地」は、相続登記がされないこと等により、不動産登記簿を見ても所有者がすぐにはわからない状態になっている土地、あるいは所有者がわかっても所在不明で連絡がつかない状況になっている土地のことを言います。

所有者不明土地は、所有者探しに多大な時間と費用がかかり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進められなかったり、民間取引や土地の利活用の妨げになったりしています。また土地が管理されないまま放置され、近所に悪影響を及ぼす等様々な問題が生じています。

高齢化が進む中、相続件数が増加して所有者不明土地も増加することが見込まれることから、問題解決のために「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(所有者不明土地法)」が制定されました(2018年)。その内容は、

1.公益性についての認定を受けた公共事業のために所有者不明土地を取得する場合は、土地収用法の特例手続きが適用され、都道府県知事の権限で可能とする

2.地域の福利増進事業(所有者不明土地を活用して地域の公園や広場、公民館等を設置すること)のために、最長10年間の使用権の設定・土地利用を可能とするというものでした。

◆今回の改正は、所有者不明土地の利活用を一層進めるためのマイナーチェンジ

今回の法改正では、所有者不明土地の利用円滑化を一層進めることと、災害等の発生防止のために行政が適切な管理を行えるようにすることを新たに明文化しています。

利用の円滑化については、まず「地域福利増進事業」として、現行の広場や公民館に加えて備蓄倉庫等の災害関連施設や再生可能エネルギー発電設備の整備も対象にできると明記されました。またこれまで対象外だった「建物(古家)付きの土地」も利活用の対象に含めることになりました。

災害発生防止のための管理の面では、行政(市町村)が勧告・命令・代執行できる制度等が新設されました。

今回の改正により、市町村等が所有者不明土地や空き家解消に向けて具体的に行動を起こしやすくなりました。建物付きの土地も活用対象にできることで、空き家を取り壊しての整備も可能となります。空き家問題に悩む住民にとっても朗報と言えるでしょう。

所有者不明土地に関する一連の法改正では、ほかに「不動産登記法改正」や「相続土地国庫帰属法の創設」もあわせて行われています。詳細については過去のメルマガでご紹介していますので、よろしければご覧ください。

●FPの会だより第64号

●FPの会だより第65号

次回は、所有者不明土地の問題解決のために予定されている「民法改正」についてお伝えします。遺産分割についての新しいルール、「お隣さん」とお関係等についてもご紹介しますよ。お楽しみに!

(青山)