(2023年5月2日発行)

GWです。新型コロナの5類移行を目前にして、マスクを外して歩く人の姿も目立つようになってきました。爽やかな天候に恵まれると気持ちも浮き立ちますね。皆様のお出かけのご予定はいかがですか。

◆4月27日からスタート!相続土地国庫帰属制度について押さえよう◆

「所有者不明土地」を解消するための施策の一つとして、「相続土地国庫帰属法」が4月27日に施行されました。今日は、この「相続土地国庫帰属制度」について確認しましょう。

◆相続土地国庫帰属法とは?できた背景は?◆

相続等で土地を引き継いでも使い道がなく、土地の保有を負担に感じている方が増えています。土地を保有・管理することに負担感がある土地は、将来管理不全に陥るリスクが高く、所有者不明土地の発生につながる恐れがあります。

「相続土地国庫帰属制度」は、「相続等で取得した土地を手放したいと考えている人が、一定要件を満たして必要な費用を負担すれば、その土地を国に引き渡すことができる」という制度です。土地が将来管理不全になったり、所有者不明土地になることを未然に防げると期待されています。

◆手続きのあらまし◆

この制度の手続きを確認しましょう。手数料を納めて申請し、法務局の審査を経て承認後に負担金を納めれば、申請した土地は国の帰属となります。

1.申請・手数料納付

まずは申請し、審査手数料14,000円を納付します。申請できるのは、相続や遺贈により土地の所有権を取得した相続人です。土地が共有地の場合は、持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請する必要があります。

2.審査

申請書を基に、法務大臣(法務局)の要件審査が行われます。この審査には実地調査も含まれ、場合によっては申請者の同行を求められることがあります。

3.承認・負担金の納付

国庫への帰属について、承認または不承認の結果が通知されます。承認された場合には、期限内(負担金の通知が到達した翌日から30日以内)に負担金を納付します。期限までに納付しないと承認が失効してしまいます。

負担金は「10年分の土地管理費相当額」として徴収されるもので、種目(宅地、田畑、山林、その他)により異なります。原野などは面積に関わらず20万円ですが、宅地、田畑、森林は、面積に応じた算定が必要となる場合があります。例えば市街化区域内の宅地(100㎡超200㎡以下)の場合は、2,450円/㎡×面積+303,000円の計算式で算出します。

4.国庫に帰属

申請者が負担金を納付した時点で、土地の所有は国庫に帰属します。

◆国家帰属の要件はかなり多い~ハードルは高い⁈◆

新制度が出来たことは評価に値しますが、実際に制度が利用しいやすいかどうかは別問題です。求められている要件が少なくないので注意が必要です。例えば「建物がある土地」「担保権等が設定されている土地」「土壌汚染や埋設物がある土地」「崖がある土地」「権利関係に争いのある土地」「通路やその他の他人による使用が予定される土地(墓地内の土地、境内地、水道用地等)」、は申請段階で即却下される等、かなり厳しい規定が設けられています。また崖のある土地や、処分が必要な車両・樹木がある土地等も不承認となります。

◆法務局での相談が始まっています◆

2023年2月から、法務局での相談が始まっています。自分が所有している土地が国に引き渡せるかどうか知りたい、または作成した申請書類や添付書類を確認してほしい、といった個別の具体的な相談に対応してもらえます。事前予約制で、法務局の窓口での対面相談または電話相談で対応しています。1回の相談時間は30分です。気になる方はご相談されるといいかもしれません。

以下に法務省の関連HPをご案内します。よろしければご覧ください。

<相続土地国庫帰属制度について>

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

<令和5年2月22日から相続土地国庫帰属制度の相談対応を開始します>

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00498.html

相続土地の国庫帰属に関する話題は、2021年のメルマガで取り上げていますので参考にしていただければ幸いです。

(青山)