(2023年8月2日発行)

台風6号が沖縄本島に接近し、沖縄県では土砂災害の危険性が高まっている地域や停電になっている地域があるようです。これ以上大きな被害を受けることなく、台風が通過することを願います。

今年は世界的な猛暑で、7月は観測史上最も暑い月になったとか。「地球上で12万年ぶりの暑さ」という表現も目にしました。12万年前というと、日本は旧石器時代の初期です。あまりに昔でイメージが湧きませんね。ともあれ、熱中症対策は万全にして、皆様どうぞご自愛ください。

◆8月 無料オンラインセミナーのご案内◆

前回のメルマガでお知らせした通り、無料オンラインセミナーを8月8日に開催します。目下の社会経済情勢を受けて、家計に不安を覚える方も少なくないと思いますが、今回の「サステイナブルな家計」を聞いて、何か気づきを得ていただければ幸いです。

<講座概要>

・テーマ :サステイナブルな家計

・開催日時:2023年8月8日(火)10:30~11:40

・講 師 :野村由季(当会メンバー)

・定 員 :50名(先着順)

・参加費 :無料

講座の参加お申込みはこちらからお願い致します(※終了しました)。

◆「インボイス制度」について、基本のキを押さえよう◆

いよいよ「インボイス制度」が10月から始まります。インボイス制度については、そもそもどういう制度なのか、なぜこのような制度が始まるのか?といった基本的な説明が省かれていることが多いようです。今日は、インボイス制度の「基本のキ」について一緒に確認したいと思います。

◆インボイス制度は消費税に関する新制度◆

「インボイス制度」は、正式には「適格請求書等保存方式」と言います。適格請求書とは、「売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるもの(電子データを含む)」です。つまりインボイス制度は、消費税に関する新制度なのです。

◆消費税の「仕入税額控除」とは?◆

では、消費税のしくみについて確認しましょう。消費税は、商品やサービスの提供等の取引に対して課される税です。1年間の課税売上高が1000万円超の場合に消費税を納める義務があり、納税義務者を課税事業者と言います。1年間の課税売上高が1000万円以下の場合は、納税義務が免除される免税事業者です。

消費税の計算は原則、課税売上に対する消費税額から、課税仕入に対する消費税額を引いて(控除して)計算します。要は、売上時に受け取った消費税から、仕入時に支払った消費税を引いた金額を納めるということです。この計算方法を「仕入税額控除」と言います。

2019年10月に消費税が10%に引き上げられたのに伴い、消費税の税率は標準税率の10%と、酒類・外食を除く飲食品等に適用される軽減税率の8%の2つになりました。これにより、消費税の計算で仕入税額控除を行うために、取引ごとに正確な適用税率や消費税額を確認し、記帳する必要が生じ、新たに「インボイス制度」がスタートすることになったのです。

2023年10月1日以降、仕入税額控除を行う要件として、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額を伝えるインボイス(適格請求書)を保存しておくことが必要になります。つまり、仕入税額控除を行うためには、仕入先にインボイスを発行してもらい、それを保存しておくことがルールとなります。

インボイスには決まった様式はなく、「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」の3点が記載されていればよいとされています。ですから、現在発行している請求書や領収書に上記3項目が追加されていれば、それはインボイスになります。

なおインボイスを発行・交付できるのは、「インボイス発行事業者」に限られます。インボイス発行事業者になるためには、事前に税務署に申請してインボイス発行事業者の登録を受ける必要があります。登録を受けられるのは課税事業者に限られているため、現在免税事業者の場合は、インボイス発行事業者の登録をして課税事業者となるか、そのまま免税事業者でいるかを選択することになります。

インボイス発行事業者になるかどうかは事業者の任意とされていますが、取引状況によって、登録が必要かどうかは異なります。税制改正で特例制度や経過措置も設けられていますので、それらも踏まえて総合的に判断することが求められます。(青山)