(2020年9月1日発行)

◆「コロナ保険」が出たそうです

新型コロナウイルス感染症などを保障する保険が、本日より新しく太陽生命保険株式会社で発売されました。8月下旬からTVCMが放映されていたそうなので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。この保険、発売が公表されてから問い合わせが殺到しているそうです(通常の7~8倍。当社広報)。一体どんな保険なのか、内容を確認してみました。

◆本質は「災害入院一時金保険」

この保険の正式名称は、「無配当災害入院一時金保険(無解約払戻金型(002))」です。単体で加入できる保険ではなく、既存の入院一時金保険などと組み合わせて加入する必要があります。保険加入者が、不慮の事故での入院や新型コロナウイルス感染症・O-157・コレラ・ペストなどの感染症にかかって入院した場合に、既存の入院一時金保険からの一時金に加え、この保険からも一時金が支払われます。契約限度額が20万円で、「最大40万円(入院一時金20万円+災害入院一時金20万円)が支払われます」という会社説明の根拠となっています。

◆医療保障の考え方

でも実は、新型コロナに罹った時の医療費は、全額公費負担のため基本的にはゼロなのです(FPの会だより第29号)。純粋に「コロナに罹った場合の医療費を補てんするもの」という意味で考えると、この保険はなくても困らない保険と言えるかもしれません。

保険会社が売り出す保険は、私たちの不安や心配な点を見事についてくるため、加入(購入)意欲をそそられることは多いです。でも、気になる心配事を全てカバーできる保障を得ようとすると、保険料が莫大な金額に膨れ上がりかねません。

ここで思い出して頂きたいのは、日本の公医療保険が世界的に見てもかなり優れているということです。医療機関にかかっても、健康保険証を提示すれば医療費の自己負担は最大3割で済みます。手術や入院などで医療費が高額になった場合でも、「高額療養費制度」により負担すべき金額は上限が決められています。この優れた制度があるからこそ、「医療保障はまずは貯蓄で。貯蓄で足りない、あるいは不安な分を保険で補おう」という医療保障の考え方が成立するのです。

今後も痒いところに手が届くような商品が色々と発売されると思われますが、「我が家には何が必要か?」をよく考えて、保険商品を吟味するようにしてください。

当会のライフプラン講座には、今年度から「我が家の保障~我が家に必要な生命保険と医療保険」講座が加わりました。必要な生命保険と医療保険の考え方を知り、現在の保障が適切かどうかをチェックできます。オンラインでの講座も可能になりました。ぜひ一度、講座を聞いてみてください。     (青山)