(2021年4月1日発行)

4月になり、新年度が始まりました。我が家でも今日は息子の入学式でした。運賃が大人料金になったことを感慨深く思う一方、これからは子どもの交通費もばかにならないなという現実的な考えが頭をよぎり、ちょっと複雑でした。

さて、進級進学を迎える子育て世代の皆さんにとっては慌しい日々が始まりますが、高校生、特に来年度大学受験を控える3年生のお子さんがいらっしゃるご家庭は、大学進学資金の手当てについて行動を始めたい時期です。今回は、日本で一番多くの学生が利用している日本学生支援機構(JASSO)奨学金の「予約採用」についてご紹介します。

◆予約採用とは?
JASSOの奨学金には、進学前に申込む「予約採用」と進学後に申込む「在学採用」の2つの申込方法があります。「予約採用」は、高3時点で申込むもので、採用となれば、進学後の奨学金の給付や貸与が決まります。奨学金の利用を予約しておくことで、受験前に資金面での不安を軽くできる制度です。

◆予約採用で申し込める奨学金は3種類

予約採用で申し込める奨学金は3種類あります。原則返還する必要のない「給付型」、返還の必要があり無利子の「第一種」、返還の必要があり有利子の「第二種」です。学力・家計の両面でそれぞれ採用基準があります。第二種の採用基準がいちばん緩やかになっています。

◆申込の機会は3回ある~大切なのは1回目!~

予約採用の申込は第1回(5~6月)、第2回(10~11月)、第3回(11~12月)の3回あります(時期は目安)が、給付型と第一種(無利子貸与型)は第1回でしか申込めません。予約採用の説明会や手続きのお知らせは進級してすぐの時期です。タイミングを逃さないよう注意してください。

◆予約採用のメリット

予約採用で申し込むメリットは大きく3つあります。先に挙げた進学前に奨学金を予約できる点に加え、奨学金申し込みのチャンスが増える点、そして平等な審査が受けられる点です。奨学金申し込みのチャンスが増えるというのは、次の方法が取れるからです。まず春の第1回で給付型や第一種(無利子)に申し込みます(同時に両方申込むことも可)。10月下旬頃届く結果が不採用だった場合、第2回で第二種を申し込めます。採用されればとりあえず奨学金を予約することができます。そして進学後、「在学採用」で第二種から第一種への切り替えを申請する(給付型は在学採用では申し込めません)ことで、進学後にもう一度第一種を申し込む機会が得られることになります。もう一つのメリット、平等な審査というのは、「予約採用の審査は全国の高校生個人に対し一斉に同じ審査基準で行われる」ことです。在学採用では大学毎に奨学金の採用枠(利用人数の定員)があり、大学による有利不利が生まれる可能性がありますが、予約採用ではその心配はありません。

◆予約採用を上手に活用しよう

奨学金は融通が利かないと思いがちですが、実はそうでもありません。予約採用で申し込んだ内容は、進学後に「進学届」を提出する際に変更が可能です(すべての条件を変更できるわけではありません)。また奨学金の必要がなくなった場合には、辞退することもできます。どちらの場合もキャンセル料や手数料はかかりません。「心配な場合はまず申し込む」くらいの気持ちで行動しましょう。

奨学金は、情報がどんどん更新されます。給付型奨学金を出す大学も年々増えています。JASSOのホームページに色々な奨学金が紹介されていますので、興味のある方は一度調べてみることをお勧めします。(青山)